本には載っていない飲食店開業

本には載っていない飲食店開業のすすめ

これから飲食店を開業しようと思う方やすでに経営してらっしゃる方に、有用な情報をお届けしたいと思っています。

めざせ飲食店開業!その4~内装業者の選び方~

どうも、ブログのタイトルを4日目にしてサラっと変えてしまえる男、あに様です。

世の中には飲食開業向けの本っていっぱいあるんですけど、

できるだけ本に載っていないようなことを書こうと思ってこのブログ始めています。

ですので、その気持ちをそのままタイトルにしてみました。

単純だね。

 

さて、今回の本題です。

内装業者の選び方です。

ところで内装業者の選択って、私が思うに一番難しい仕事だと思います。

それはなぜか言いますと理由は主に2つあります。

 

ひとつは相場が非常に曖昧であることです。

飲食開業本とかにはとにかく相見積りをせよと書いてあります。

それ自体はもちろんやったほうがいいのですが、ただそれをやったところで安いのか高いのかを素人が判別するのは非常に難しい話です。

ケルトン店舗(内装造作が全く残っていない店舗)で坪単価30万~50万ぐらいが相場ですとか本にも書いてあったりしますが、素人からすれば1坪で20万も相場が変わるのかよってなりますよね。それに凝った内装で作るのかシンプルでいい内装なのかによっても価格はかなり違ってくるわけです。

つまり、内装の相場なんてあってないようなものです。

 

もうひとつは営業担当によって対応はピンキリだからです。

内装業者だけでも色々ありますが、さらにその会社内で営業が何人かいるわけです。

彼らは経験も知識もバラバラですし、人間性ももちろん違います。

どんな人が自分に合っているかは人それぞれかもしれませんが、

少なくとも信用できる人がいいですよね。

でも、知り合いでない限り大抵は初対面です。

つまり、人を見抜く力が必用になってくるわけです。

 

それではいったいどうやって選べばいいのでしょうか。

あに様流でポイントをまとめてみました。

 

 

1.店舗内装の経験を見る

まずはこれが一番大事です。

そもそも飲食店舗の内装工事経験がないところはオススメしません

飲食店の工事というのは単純にデザインがよければ良いってものではないからです。

飲食経験の方ならお分かりだと思うのですが、飲食における工事の内容は内装以外にも、電気工事、水道工事、ガス工事、設備(空調等)工事が付随してきます。

多くの方は内装屋にこれらを一括して任せることが多いのではないでしょうか。

住宅専門で内装をやられてる業者では設備関係の知識が浅いため問題が生じる場合があります。

シンクの取り付け一つだって、排水工事と給水工事が必要です。

例えば水道の蛇口は壁から出すのか、シンクに穴を開けて出すのかとか、排水の位置は邪魔にならない場所に設置されているかとか、そんな細かいことにまで精通していないといけません。

でないと、さいあくせっかく買った厨房機器がその場所に入らない、使えない、なんてことになりかねないからです。

 

私が厨房屋時代にお客様のところで実際にあった話ですが、

内装業者が満面の笑みで「工事完了です!」と言ってきたので店を見てみたら、

スタッフルームの鍵がなぜか内側ではなく外側(つまり店舗側)についていたというようなことがありました。

お客さんもまた満面の笑みで言います。

「スタッフが客に閉め出される部屋って、どういうプレイなのそれ?」

あに様、笑いを堪えることができませんでした。

 

内装業者が飲食店舗の経験があるのか、又はあるとするならばどこの店を手がけたのかぐらいは聞いてみましょう。

できればそこが手がけた店舗を一度は見に行くことをオススメします。

 

2.概算見積りで相見積りを取る

開業するにあたってみなさんは当然予算組みをすると思います。

そのたたき台としてまずはいくつかの内装業者に概算の見積を出してもらいましょう。

多ければいいってものでもないので3社程度から取るのが理想です。

それとそれぞれの業者には相見積りをするということをきちんと伝えましょう

伝えないと業者によっては「ふっふっふ、こいつぁはカモだな」

とか思われてめちゃくちゃ高い価格でふっかけてくるところもあります。

あくまで概算の見積りなので、細かい話は任せる内装屋が決まってからとなりますが、

思いつく要望はしっかりと伝えましょう。

先ほど語ったように相場なんてものはあってないようなものと語りながらなぜ複数社から見積りを取るのかといいますと、その業者がどんなアプローチをしてくるのかというところを見るためにあります。詳しくは次から語っていきます。

 

3.営業の対応の仕方を見る

見積りをする際は必ずその業者の営業担当と話をしていくことになると思います。

まずはその担当の反応を見ましょう。

最初にこちらが要望を伝えます。問題はその後です。

その方がこちらの要望をしっかりと聞いてくれているかを見ます

良い営業さんというのはこちらの要望を最大限に引き出してくれる、形にしてくれる方です。会話の仕方を例にするとこんな感じです。

 

※良い営業さんの場合

 「~はどうされますか?」「~はどうしたいですか?」

※良くない営業さんの場合

 「~はこうしたほうがいいですよ」「~はこうしましょう。その方がいんで」

 

お分かりでしょうか。

良い営業さんはだいたいこちらの意図を確認しにくる感じです。

対してそうでない営業さんは自分がやりやすい方向へ誘導しようとしています。

私も厨房屋時代に色んな内装屋さんとお付き合いしましたが、

中には上から目線で「こうしろああしろ」と言ってくる方も本当にいます。

ですので、その方が真摯にこちらの要望と向き合ってくれているかを観察しましょう。

結局、自分がその方を信用できなければ付き合っていても不快な思いをするだけです。

それに内装工事代は開業費用の中で最も金額が大きい部分です。

下手な選択をすれば、後で後悔するのは自分です。

 

4.営業のスピード感を見る

まずは単純に見積りを何日で作ってくるのかを見ましょう。

概算の見積もりであれば早いところなら1週間以内に持ってきます。

ちなみに私がお付き合いしてる内装屋さんは1店舗目の見積りをお任せした時、5日で持ってきました。早いな、と思ったのをよく覚えています。

概算見積で2週間を超えるとなると、さすがに少し時間がかかったなと思ってもいいでしょう

なぜこんなことを気にするのかいうと、

私の経験上見積りが遅い担当者は何をやっても遅いからです。

例えば、そこにお任せすることになったとしてこれから色んな事を打ち合わせしたり、連絡をしていかなければならないわけです。

その対応がいちいちモタついていたらオープンは遅れますし、工事上取り返しがつかないような事案も出てきかねません。

ですので、こちら側に時間の余裕があったとしても相手側のスピード感は大事です。

遅れるにしてもきちんとした方は「少し遅れます。あと○日ぐらいください」ぐらいの一言や中間報告をくれるはずです。

 

5.見積内容を確認し、不明な点を洗い出しておく

まず大前提としてきちんと細かく項目ごとに見積価格が表示されているかを見ましょう。

下記サイトにアップされている写真のようになっていればよいと思います。

 

archicloud.jp

内装工事○○万円、設備工事○○万円、電気工事○○万円とざっくり書いてあるような業者は論外です。業者が親戚や友達でもなければ普通は信用できません。

 

そして、いよいよ各社の見積りが出揃ったらまずはそれらを比較し、気になる点を洗い出してみましょう。

例えば、A社ではあるのにB社ではない項目があるとか。

同じような工事項目なのに価格が随分違うな、とかあると思います。

それらがなぜなのかを聞いてみましょう。

相手も相見積りすることは知っているはずですから、そこは変に気を使わなくても大丈夫です。ストレートに聞いてしまってください。

その理由が納得できるものならそれに越したことはありませんし、納得できなければ交渉の余地があるのかどうかも聞いてみましょう。

また、この確認作業で本来なくてはならない工事内容がきちんと含まれているかというチェックも同時に行えます。

 

6.内装業者の候補を絞って話を詰める

上記までの作業をしていけばおのずと内装業者の候補が絞れてくるのではないかと思います。最後は自分で判断することですが、価格だけの印象ではなく、ここなら信用できると思うところに決めましょう。

最終的に任せる業者を決めたら今度は本見積りに入ります

今後、工事業者とは何度も顔を合わせるでしょうし、非常に多くの時間を要します。

自分の要望と業者の受け取っていることに差異がないかよく確認しましょう。

ここでのポイントは、自身の創業計画書(コンセプト部分)や、自分がイメージしている内装写真をネットなどで見つけて業者に見せると相手に伝わりやすいと思います。

 また、要望はこの時点でできるだけ細かく伝えましょう。

トイレをつけてください、だけではどんなトイレが出来上がるかわかりません。

例えるならば、ウォシュレット付きの洋トイレでお願いしますと伝えなければなりません。

壁紙や床、カウンターなどのデザインについてはだいたい向こうからどんな感じにしますか?と聞かれると思うのでいいのですが、細かい部分はできるだけ先に伝えておきましょう。

特に注意したいのは収納などですね。

私の経験上、収納スペースの確保まで考えてくれる業者は存外少ないです。

相手は工事のプロではあって、飲食のプロではないからです。

例えば、内装屋に木棚を作ってもらうのか、ステンレス製の棚を厨房屋で購入しそれを内装屋に取り付けてもらうのか、またそれらをどこに取り付けるのか、この辺ははっきりしておいたほうがいいでしょう。

工事費にも影響しますのでここは要注意です。

 

7.支払い方法の確認と手直し対応についての確認

 まず支払い方法ですが、内装工事代となると何百万、何千万単位になりますのでほとんどの場合キャッシュで振込みとなります。

ただ、注意したいのは何回払いなのかということです。

これは基本中の基本なんですが、工事前の一括払いという条件提示をしてくる業者はあまり信用しない方がいいです。

その業者のホームページで「実績があります!」とか書いてあってもやめましょう。

 

支払いは2~3回に分けるのが一般的です。

着工時で50%を超える支払いをしてくれという業者もややリスクが高いです。

2回なら普通は着工時50%、引渡し時50%が一般的ですし、

3回ならば3分の1づつ、あるいはそれに近い形になると思います。

ここは内装価格の大きさとリスクを考えながら、安全な業者にお任せしましょう。

借入する方は、それを理由に支払いタイミングを交渉しても良いと思います。

工事内容を見てもいないのに、先に全額支払うことだけは絶対避けましょう。

これはどんなに信用できる業者でも私ならやりません。

工事というものは物件によっても様々な事情が変わってくるからです。

 

最後に手直しについてです。

手直しというのは、工事が終わった後に細かい部分を修正してもらうことです。

例えば、扉の建て付けが悪かったり、水道の蛇口の位置が悪るくて使いにくいという事案が出てこれば修正してもらわなくてはなりません。

ここで気をつけたいのはどこまで無償でやってもらえるのか、いつまでならやってもらえるのか、ということです。

ここはできるだけ細かく聞いておきましょう。

 

請負契約で定めた内容通りにできていない部分や、傷、欠陥、欠点などのことを瑕疵(かし)と言います。請負業者が行なった仕事でこの瑕疵があった場合は、工事業者がその責任を負うことになります。

そして、その修正責任を負う期間のことを瑕疵担保期間と言います。

法律では瑕疵があった場合、修正をお願いするなら1年以内にすること、と定めています。(ただし、契約書を交わせば、この期間については延長は可能です)

これを知らない方は意外と多いんじゃないかと思います。必ず覚えておきましょう。

着工前に必ず契約書にこの内容が盛り込まれているかもチェックします。

ただし、この瑕疵についてはどんな場合でも適用されるわけではありませんのでご注意ください。法律でもこう定めてあります。

 

瑕疵が重要でなく、かつ、その補修に過分の費用がかかる場合は補修を求めることができない。(民法634条1項但書)」

 

上記に該当する場合、損害補償請求はできますが補修は求めれません。

つまり、簡単に言うと、

設計図や契約書に書いてないような重要性が低い部分は補修不可。

また、それを補修することで巨額な費用が必用となる場合は補修不可。

ということです。

 

参考になったでしょうか!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。